ポケットコイルマットレスの魅力と選び方

2025.04.30

はじめに

ポケットコイルマットレスは、快適な寝心地と優れた体圧分散性で多くの人から支持されているマットレスです。
しかし、「ポケットコイルなら何でも良い」と思っていませんか?
実は、ポケットコイルにも多くの種類や設計思想があり、選び方を間違えると理想の寝心地を得られないこともあります。

このページでは、ポケットコイルマットレスの構造的な魅力、他のマットレスとの違い、選ぶ際に見るべきポイントを徹底解説します。
初心者でも理解しやすいように図解や実例も交えて紹介していきます。

ステップ1:ポケットコイルとは?

ポケットコイルマットレスは、その名の通り、個々のコイルが布のポケットに包まれた構造を持つマットレスです。これにより、それぞれのコイルが独立して動き、「点で体を支える」という特徴があります。
ポケットコイルは、より柔軟に体のラインにフィットしやすいため、自然な寝姿勢を保ちやすくなります。

ボーリング玉がコイルに乗っている画像

メリット

  • 体圧分散に優れる:体のラインに沿って沈むため、腰や肩の負担を軽減。
  • 揺れが伝わりにくい:独立構造なので、隣で寝ている人の動きが伝わりにくい。
  • 長持ち:構造上スプリングへの負荷が分散されやすく、へたりにくい。

デメリット

  • 価格が高め:高品質な構造である分、ウレタンマットレスよりも高価な傾向。
  • 重い:内部にスプリングが多く使われており、持ち運びが大変。

ステップ2:他のマットレスとの違い

種類寝心地の特徴価格帯振動吸収性体圧分散性
ポケットコイルしっかり+フィット感中〜高
ボンネルコイル硬めで面で支える低〜中
高反発ウレタン軽い+反発力強め
低反発ウレタン柔らかい+沈み込む
ファイバー系通気性抜群+硬め

それぞれの構造が異なるため、自分の体重・体型・寝姿勢に合ったものを選ぶことが重要です。

ステップ3:ポケットコイルマットレスを選ぶときのチェックポイント

① コイル数・コイル径・バネ鋼材の種類

ポケットコイルマットレスの性能を左右する重要な要素のひとつが「コイル数」と「コイル径」と「鋼材の種類」です。

  • コイル数:コイルの数が多いほど、体の各部位に合わせてきめ細かく体圧を分散できます。ただし、自分の体重や体型に合ったバランスが重要です。
  • コイル径:太めのコイルは反発力が強く、しっかりとした寝心地に。細めのコイルは柔らかくしなやかで、より体にフィットします。
  • ポケットコイルの芯となるバネには、SWRH(「鋼(Steel)」「線(Wire)」「線材(Rod)」「硬鋼(Hard)」の略という鋼材が使われます。
ポケットコイルを手で押している

代表的なSWRH(バネ鋼材)の種類

種類特徴
SWRH62A/B炭素量:約0.62%。やや柔らかく加工しやすい。
SWRH72A/B炭素量:約0.72%。標準的な強度で、一般的なポケットコイルに広く使用される。
SWRH82A/B炭素量:約0.82%。高反発で耐久性が高く、高級なマットレスに使用される。
  • 数字(62・72・82):炭素含有量を示し、数字が大きいほど鋼線は硬く、反発力と強度が高まる。
  • アルファベット(A・B):等級を示し、B種の方が品質管理基準が厳しく、ばらつきが少ない高品質品

種別(A種・B種・C種)の違い

「SWRH82B」のような表示に加えて、さらに用途に応じた**「種別(A~C種など)」**も指定されることがあります。

種別特徴
A種一般的なバネ向けの標準品質。
B種工業用途向けのやや高品質品。
C種精密用途に最適。バネ巻加工において変形が少なく、反発力と寸法安定性に優れる。

なぜ「SWRH●●B C種」が高級マットレスに選ばれるのか?

高級マットレスには、以下の要件が求められます:

  • 高反発性:体圧分散に優れ、寝返りがしやすい
  • 高耐久性:長期間の使用に耐えうる強度
  • 高精度加工性:ポケットコイルのバネが均一で快適な寝心地を提供

これらを満たすのが「SWRH●●B C種」です。

  • ●●:数字が多いほど炭素含有量が高く、反発力に優れる
  • B種:管理基準が高く、品質にばらつきが少ない
  • C種:巻きバネなど精密なバネ加工に適し、形状保持力と反発力の安定性が高い

② コイル配列

ポケットコイルマットレスの「コイル配列」は、寝心地や体の支え方に大きな影響を与える要素のひとつです。主に以下の2種類の配列方式があります。

  • 並行配列(パラレル配列):
    コイルが垂直に等間隔で並んだ構造で、コイル同士の干渉が少ないため、体が包み込まれるようなフィットした寝心地になります。
    特に体重が軽めの方横向き寝の方に向いており、肩がしっかり沈み込むことで、背骨の自然なラインを保ちやすくなります。
    また、比較的静かな寝心地も特徴で、寝返り時の音や揺れも小さく抑えられます。
  • 交互配列(ジグザグ配列):
    コイルを縦・横方向に密接に並べ、互い違いに配置した構造です。面全体でしっかり体を支えるため、やや硬めの安定感があります。
    体格が大きめの方仰向けで寝ることが多い方に適しており、沈み込みすぎず、腰や背中をしっかりと支えたい方におすすめです。
    コイルの数が同じでも、交互配列の方が接地面積が広くなるため、構造上しっかりとした支持感を得やすいという特徴があります。

並行配列=柔らかくフィット感、交互配列=しっかり支える。
当店のポケットコイルマットレスは、全てのオリジナル(オリジナルアイコンが目印)モデルに並行配列を採用しております。

③ 表面の詰め物(詰め物層の素材)

マットレスの快適性を左右する重要な要素が、コイルの上に重ねられる「詰め物層(コンフォート層)」です。この層の素材と構造によって、体に触れる感触・寝心地・通気性・反発性が大きく変わります。

詰め物素材のイメージ
  • 高反発ウレタン:
    適度な弾力と反発力があり、寝返りがしやすく腰が沈み込みすぎないのが特徴。
    腰痛対策を考える方や、しっかりとした寝心地を求める方におすすめです。
  • 低反発ウレタン:
    体の形にじんわりフィットし、包み込まれるような感覚を提供。
    圧迫感が少なくリラックスしたい方に適していますが、寝返りが少ししにくい点には注意が必要です。
  • ラテックス:
    天然ゴム素材を使用した詰め物。高反発性・抗菌性・耐久性・通気性を兼ね備えており、自然素材にこだわる方やアレルギー対策をしたい方にも人気です。
    ただし、価格がやや高めで重量もあります。
  • 綿・羊毛などの天然素材:
    吸湿性・放湿性に優れ、ふんわりとした肌触りが魅力。
    夏の蒸れや冬の寒さを和らげたい方に適しています。
    中には防臭・防ダニ加工がされた高機能素材もあり、季節を問わず快適に使える仕様のものもあります。

「寝心地」=コイル+詰め物の相乗効果。詰め物は感触だけでなく、蒸れ対策や体圧分散にも深く関わる部分です。

④ 通気性

マットレスの通気性は、湿気やムレを防ぎ、快適な睡眠環境を保つための重要な要素です。特に日本のように湿度が高い地域では、通気性の良し悪しが、マットレスの寿命や睡眠の質に大きな影響を与えます。

  • 通気孔の設計:
    コイル周囲に空気の通り道(ベンチレーションホール)を設けている構造は、湿気がこもりにくく、内部の熱も逃しやすい特徴があります。
  • 側面・裏面の素材選び:
    通気性を高める素材として、「3Dメッシュ」や「不織布」などが使用されます。これらの素材は湿気を逃しやすく、カビ・ダニの発生リスクを軽減します。
  • 詰め物素材との関係:
    通気性の高いラテックスや天然綿、羊毛などを詰め物に使うことで、全体の空気循環が良くなり、ムレ感の軽減につながります。

当店のマットレスには、側面に3Dメッシュを採用したモデルや、裏面を通気性の高い不織布にしたモデルもご用意しています。湿気がこもりにくい設計で、一年中快適な寝心地を実現します。

⑤ エッジサポートの有無

マットレスの端を線形の太いコイルを使い補強する構造仕様。端の沈み込みを抑え、ベッド全体を広く使えます。

エッジサポートのイメージ図
  • メリット:ベッドの端に座った時の沈み込みを軽減し、面積を有効活用
  • おすすめの人:ベッドの端で寝るクセがある方、2人以上で使用する方

⑥ ゾーニング設計

肩・腰・脚など、部位に合わせてスプリングの硬さや反発力を調整する構造。身体の自然なラインを保ちやすく、腰や肩への負担を軽減します。

ソーン構造のイラスト
  • メリット:自然な背骨のS字カーブを保ち、負担の少ない姿勢をサポート
  • おすすめの人:腰痛持ち、体圧が集中しやすい方

3ゾーンマットレス Complete / EXCELLENT

7ゾーンマットレス Nanotech / Excellent

⑦ 耐久性

マットレスの寿命や快適性の持続には、耐久性の高さが非常に重要です。

ボーケン資料とマットレスを押している手
  • 当社のコイルマットレス:100kg荷重×8万回という過酷な耐久テストをクリア。
  • 実証例:人は1晩に25回ほど寝返りを打つと仮定すると、8万回 ÷ 25回 ÷ 365日 ≒ 約8.7年 の連続使用に相当。
  • 品質保証:安心の国際規格「ISO9001」認定工場にて生産。

長く使える信頼性とコストパフォーマンスの両立を実現しています。

ステップ4:こんな人におすすめ!タイプ別選び方

タイプ特徴おすすめのポケットコイル
腰痛持ち寝姿勢に気を遣いたいゾーニング設計×高反発タイプ
横向き寝肩に圧がかかる並行配列×柔らかめウレタン層
パートナーと使用揺れが気になるコイル数多め×エッジサポート付き
蒸れが苦手通気性重視通気孔付きorメッシュ生地仕上げ

ステップ5:よくある質問(Q&A)

Q. ポケットコイルって全部同じ?

実はメーカーによって配列・コイル数・ゾーニングの有無などが全く異なります。
同じ「ポケットコイル」と書かれていても、寝心地や性能に大きな違いが出るため、スペックの確認は必須です。

Q. へたりやすいのでは?

安価な量販タイプの中には、詰め物が薄くへたりやすいものも存在します。
長期間快適に使用したいなら、コイルの品質や詰め物の厚さ、構造にしっかりこだわって選ぶことをおすすめします。

当店では、使用によってへたりやすい表面層のみを交換できる、実用的な2層構造マットレスも取り扱っております。

Q. ベッドフレームは何を選べば良い?

通気性のあるすのこタイプが最適です。
直置きにすると湿気がこもりやすく、カビやダニの原因になります。
すのこ以外のフレームを使用している場合は、1~2週間に1度、マットレスを立てて風を通すことをおすすめします。

まとめ

ポケットコイルマットレスは、正しい選び方をすれば非常に快適な睡眠を提供してくれる優れた寝具です。
ただし、自分に合わない構造を選んでしまうと、かえって寝苦しさの原因になることもあります。

選び方のポイント:

  • 体型や寝姿勢をもとに、「コイル数」「ゾーニング」「詰め物素材」「エッジサポート」などの構造を見極める
  • ベッド全体の通気性や使用環境にも配慮する
  • 長く使いたいなら「耐久性」もチェックする

あなたにとって最高の一枚が、きっと見つかりますように。

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